自宅での愛犬の洗い方、知っておきたい○と×



プロトリマー直伝! 正しいケアのコツ vol.1<シャンプー編>

自宅での愛犬の洗い方、知っておきたい○と×

愛犬を自宅で洗う場合の、正しいシャンプーの仕方を知っていますか? トリミングサロンに出すとそれなりにお金がかかりますが、果たして自宅でのシャンプーと何が違うのでしょうか? JKCトリマー教士であり、東京愛犬専門学校の講師でもある渡辺まゆみ先生に、正しいシャンプーの仕方を教えてもらいました。先生考案のスムーズにシャンプーを進めるコツも紹介!ブロー編と合わせてチェックしてみてくださいね。
#Healthcare / #Lifestyle
Author :写真=永田雅裕 文=山賀沙耶 監修=渡辺まゆみ

準備するもの

 事前に以下のものを準備しておこう。渡辺先生やdocdogのおすすめアイテムがあるものはリンクを張ってあるので、チェックしてみて。
  • スリッカーブラシ、コームな
    愛犬の被毛に合わせて、スリッカーブラシやコームなどを用意。
  • シャンプー
    犬の被毛を構成する成分と同じ、アミノ酸系のシャンプーがおすすめ。脂分を取りすぎず優しい洗い上がりで、洗い流した後も生分解性に優れているため、地球環境にも優しい。皮膚トラブルがある場合には、獣医師に相談のうえ、必要に応じて抗菌性シャンプー、抗脂漏性シャンプー、保湿性シャンプーなどのスキンケア用シャンプーを選ぶといい。
  • コンディショナー
  • ●洗面器2つ
    シャンプーを泡立てたり、コンディショナーを薄めたりするのに使う。
  • ●泡立てボール
    シャンプーを泡立てるときに使う。100円ショップなどで購入できる。
  • ●セルロースのスポンジ 2つ
    シャンプーやコンディショナーをカラダにつけるのに使う。キッチン用のものでOK。
  • マイクロファイバータオル 大2枚
    吸水性の高いものを用意。浴室でざっと水気を取る用と、しっかり水気を拭き取る用の2枚あるといい。
  • ●コットンバスタオル
    ブローのとき足元に敷くためのもの。
  • ●トリミングテーブルがわりの台
    あると飼い主が楽。飼い主が腰を曲げずに作業ができる高さで、犬がギリギリ回れるぐらいぐらいの大きさが理想。
  • ●カーペットの滑り止めシート
    滑らないように、トリミングテーブルがわりの台の上に敷く。ブロー中はその上にコットンバスタオルを敷くといい。
  • ドライヤー
    風量の大きいものだと乾きやすい。下記のポケット付きエプロンを使う場合は、吸込口がサイドにあるものを選ぶ。
  • トリマーエプロン
    胸ポケットにドライヤーをさしてハンズフリーでブローできるものが便利。
  • 肉球クリーム
    シャンプー後、乾燥する前につけるとしっとりする。

(1)シャンプー前の準備

 愛犬を濡らしてシャンプーを始める前に、実は準備しておくべきことがいくつかある。
■勘違いポイント①:シャンプー前だからブラッシングしなくていいや
⇒シャンプー前のブラッシングは特に念入りに!
 シャンプーの前だからブラッシングしても無駄だしボサボサのままでいいや、と思う人も多いだろう。しかし、実はシャンプー前こそ念入りにブラッシングをする必要がある。毛束をバラしておくことで、毛の1本1本をきれいにむらなく洗い上げることができ、すすぎの後もシャンプー液が残りにくく、乾きも早い。この行程を飛ばすだけで皮膚病になってしまうこともあるので、必ず行うこと。
180417_02.jpg
□コツ①:シャンプーやブローに使うものは、事前に使う場所に準備
 シャンプーを終えてから、バタバタとブローに使うものを準備していては遅い。犬を濡れたままにしておくと、寒い思いをさせてしまいシャンプー嫌いになってしまうこともあるし、濡れた犬が走り回って家の中が水浸しになることも。事前に、台の上に滑り止めシート、コットンバスタオルを乗せて、近くにマイクロファイバータオル1枚と、コンセントにつないだドライヤー、ブラシ類を準備する。
180417_03.jpg
□コツ②:洗面器に泡を大量に作っておく!
 犬を濡らしてからシャンプーをカラダにつけて泡立てるのではなく、洗面器にシャンプーをパッケージの表示通りに薄め、泡立てボールを使って泡を作っておく。こうすると、スムーズにシャンプーができるだけでなく、犬の皮膚に直接シャンプー液が流れ込まずに済む。1回のシャンプーで、写真の洗面器2?3杯分の泡が必要だ。
180417_04.jpg

(2)全身をよくお湯洗いする

 ここまで準備したら、ようやくシャワーで愛犬にお湯をかけていく。このとき、犬を濡らすというよりも、被毛をお湯洗いする感覚で、念入りに流す。実は、犬のカラダについた汚れのほどんとは、お湯洗いで落とすことができるのだ。
■勘違いポイント②:シャワーのお湯の温度を、手の先で触って確認
⇒手首の脈をとるあたりに当てて確認する!
 犬にシャワーのお湯をかける前に、必ず飼い主の手でお湯の温度を確認すること。温度の目安は約38℃、人間が「少しぬるいな」と感じるぐらいが適温だ。このとき、手の先でお湯を触ると、かじかんでいて温度がわからないこともあるので、手首の脈をとるあたりにかけるといい。
180417_05.jpg
■勘違いポイント③:高い位置からシャワーを当てる
⇒シャワーヘッドを犬のカラダに当てるようにする
 シャワーの音やカラダに当たる感触を嫌がるコもいるので、シャワーヘッドを犬のカラダにつけるようにして動かそう。シャワーの苦手なコの場合は、洗面器でお湯をかけてもいい。
180417_06.jpg
 後ろ脚→前脚→首→肩→胸下→前脚付け根→背中→お腹→腰→後ろ脚付け根→おしり→シッポというように、シャワーをスムーズに動かしながら、洗い残しがないように、順番に丁寧に洗っていく。
180417_07.jpg
180417_08.jpg
■勘違いポイント④:全身を一気に濡らす
⇒顔はまだ濡らしません!
 犬は顔が濡れるとプルプルするし、顔にシャンプーがつくとペロペロなめてしまう。顔を濡らして洗うのは最後に!

(3)シャンプーをつけて洗う

 シャンプーの泡で被毛を洗う感覚で、ボディと四肢を洗ったら、最後に顔を洗ってすぐ流す。シャンプーは2回すると、よりきれいになる。
 洗面器に作ったシャンプーの泡を、セルロースのスポンジに含ませて、まずはカラダにのせていく。首→肩→背中→四肢と、上から順に泡をつけていく。
180417_09.jpg
 泡をのせた順番と同じように、上から順に被毛をよく洗う。
180417_10.jpg
■勘違いポイント⑤:ゴシゴシと皮膚を洗う
⇒指の腹で皮膚をマッサージするように洗う
 爪を立てないよう指の腹で皮膚をマッサージするように洗い、被毛は揉みほどくような感覚で!
180417_11.jpg
 汚れやすい脚は特に念入りに、指の間、爪の際、肉球の間までしっかり洗う。
180417_12.jpg
□コツ③:鼻を濡らさないようにする!
 いよいよ顔を濡らしていくが、犬は鼻が濡れるのを嫌がるので、鼻を濡らさないようにすることがポイント。鼻先を上げて、シャワーヘッドを当てながら後頭部から前に動かす。マズルは左右半分ずつ濡らし、最後は手で鼻をカバーして。
180417_13.jpg
 スポンジを使って泡をつけながら、耳→頭頂→マズルと、目を避けて洗っていく。耳は指でもみほどくようにしながら、裏表をしっかり洗う。
180417_14.jpg
 最後の最後に目頭と目尻をさっと洗い、すぐにお湯で流す行程に移る。
180417_15.jpg

(4)お湯でよく洗い流す

 シャンプーの流し残しが原因で皮膚病になってしまうこともあるので、上から下へと順番に、念入りに流していく。
 頭を濡らしたときと同様、シャワーヘッドを当てながら後頭部から前に動かして、まず目のまわりを流す。
180417_16.jpg
□コツ④:目の中まで流水で洗い流す!
 ざっと流しただけでは、目にシャンプーが入ってしまっている可能性があり、それが原因で角膜炎になってしまうことも。そこで、犬が目を開けた状態で、シャワーの流水で目を洗う。
180417_17.jpg
□コツ⑤:耳を流すときは、親指で耳の穴をふさいで!
 耳の中にお湯が入らないように、シャワーヘッドを持っているのと逆の手の親指で、耳の穴を塞ぎながら流す。
180417_18.jpg
 顔→首→肩→背中→四肢と上から順に、流し残しがないように、念入りに洗い流す。
180417_19.jpg
 もう一度(3)(4)を繰り返して、2回シャンプーをする。

(5)コンディショナーをつける

 コンディショナーは薄めることで被毛全体になじませやすくなる。パッケージに記載がある場合は洗面器で表示通りに薄め、スポンジを使って、後頭部→背中→お腹→顔とつけていく。
180417_20.jpg
 最後に、首から背中にコンディショナーの残りをかけて、お腹や脚に行き渡るように、手でなじませる。
180417_21.jpg
 シャンプー後と同様、シャワーのお湯でしっかりと流す。
180417_22.jpg
 耳やお腹、脚、シッポの水気を手で絞る。
180417_23.jpg
□コツ⑥:「プルプル」を言葉で教えるといい!
 犬の耳に息を吹きかけて、プルプルさせて水を飛ばさせる。プルプルしたときに、毎回「プルプル」と言葉をつけておくと、「プルプル」と言うだけで自分からするようになる。
180417_24.jpg
 浴室の中で、準備しておいたマイクロファイバータオルでざっと水気を取る。カラダを拭くというよりも、押さえて水気を吸い取るイメージで、いちばん濡れている足元までしっかり水気を取る。タオルで包んでそのまま抱っこし、ブローする場所まで連れていく。
180417_25.jpg
>>次回、vol.2<ブロー編>では、乾かし方のよくある勘違いと、きれいに仕上げるコツを紹介します!